急がば回れという諺がありますが、あれは草津市の矢橋町に由来があるのですね。現在は矢橋というと矢橋帰帆島のイメージではないかと思うのですが、帰帆島は1980年頃に埋め立てて造られた人工島で昔はなかったそうです。
昔、東海道の草津宿を出て大津宿に至るルートには、瀬田の唐橋を歩いて行くルートと、矢橋港から対岸の大津に向かうルートがあったそうです。距離的は南下してから瀬田の唐橋を渡るより、帆船に乗って琵琶湖を渡る方が圧倒的に短いのですが、特に冬場は比叡おろしの風がきつく、なかなか船が進まず回り道の唐橋を徒歩で行った方が早いことがあったため、「もののふの矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋」という歌が詠まれたのが由来だそうです。もののふは武士、長橋は唐橋ですね。
近江八景の一つに矢橋の帰帆がありますが、あれは矢橋港に帰る帆船といった意味なのですね。今は港の石積み跡が残るのみですが、その様な由来でかつての港を出た場所に作られた人工島は帰帆島と名づけられたんなだなぁと思いました。埋め立てられ40年を経た人工島は草木が生い茂り、昔からそこにあったような佇まいです。
現代は帆船で草津から大津へ渡らなくても、近江大橋があるので便利になりました。